2015年4月28日火曜日

ゴールデンウィークに突入したというのに、頭の片隅に桜の事が離れない。

何の桜かというと、本居宣長先生の歌、

『しき嶋の やまとごゝろを 人とはゞ  朝日に匂う山ざくら花』である。

間が悪いことに昨日放送のNHKドラマ「花燃ゆ」は吉田松陰の最後であった。

このドラマは礼によって作り話と思って見なければ腹が立って来るというNHKの大河ドラマのいつものパターンである。勿論ドラマであるから、作り話であるのは当然であるが。

視聴率も評判も良くないらしい。が、私はドラマとして、結構気に入っている。

そして、そんな三文ドラマでも、吉田松陰の死は唯々涙が溢れてくる。

比すことも失礼ではあるが、古い歌謡曲、西島三重子の「池上線」の歌詞が頭をよぎる。

「あとから あとから 涙あふれて 後ろ姿さえ 見えなかったわ」

私は、ドラマが終わり、最後の字幕が涙に滲んで見えなかった。

 

二百年の鎖国の間に世界で起こっていた産業革命と植民地主義。その餌食となる新大陸と亜細亜、アフリカの中にあって鎖国をしていた、世界の情勢に決定的に遅れていた日本が、明治維新という無血革命によって、有色人種の中、植民地支配を逃れ、西欧列強の国々に対抗した曾祖父達、そして死んでいった幾多の先祖を、桜の花散るを見て思い起こされるのである。

 

「一期一会」と云い「花は散るために咲く」と云う、どうも私は覚悟が足りないらしい。未練がましいのである。

「願わくば 花の下にて 春死なん その望月の如月の頃」西行

桜が咲くと、「やまとごころ」「大和魂」の死への美学を強く感じ、それが日本を動かしてきた原動力の一つであると思えてくる。

季節の変わり目は人心を惑わすと云う、どうも春の芽吹きの精に当たったらしい。

 

2015年4月19日日曜日

朋あり遠方より来る、


 月の初め、遠来の友人が泊まっていって、夜遅くまで話し込んだ。話の中で本居宣長先生の話も出て、友人が山桜を見たいと言った。


 少し酔いが廻っていた私は、明日ご案内します、と気安く答えたのだが、その日は四月の五日、ここ塚原に山桜が咲くのは十五日を過ぎてからである。

 案の定、帰路へつく友人を送って行く車中からの眺めに桜の花は見当たらない。


 花が開けば、せめて写真でもと思っていたが、開花してからというもの雨続きである。そろそろ満開かと思われる頃には突風も吹き抜けて、花に嵐とは、よく言った物だと妙に感心する。

 今年の山桜はダメだなと諦めかけていたら、今朝になって、カラリと晴れた。見ると塚原の山桜は、花散り葉桜である。

 由布岳の東の尾根の付け根に日向岳という小山がある。この塚原より標高が幾分高く、遅れて開花する。もしやと思い出かけてみると、見事に満開であった。

 山桜のイメージを伝えたいものだと、カメラ片手に小一時間、山裾を歩いた。

日向岳、奥にチラリと由布岳の山頂が

久々に山猫軒のホームページにこの日のアルバムをアップしました。
由布岳山麓の山桜の写真を沢山載せています。
 よかったら覗いて下さい。

フラッシュのページはこちらから、
http://www.yufuin-tukahara.net/gallery_folder/pg92.html


通常のページはこちらから、
http://www.yufuin-tukahara.net/gallery_folder/pg111.html


2015年4月16日木曜日

大和魂




 桜の季節、最近あまり聞かれる事のなくなった「大和魂」のことなど考えてみました。「咲いた花なら散るのは覚悟」と軍歌などの勇ましいイメージ。右翼の街宣車などで大呼されては、ますます嫌われ者になってしまいそうです。

 ところが「やまとだましひ」といふ言葉は源氏物語に書いてあるのが初見で、同じ意味の「やまとごころ」といふのも同時代の女官、赤染衛門の歌に出ているのが初見との事で、軍歌と平安女流文学とでは随分とイメージが違います。

 江戸時代の国学者、本居宣長先生は
『しき嶋の やまとごゝろを 人とはゞ  朝日に匂う山ざくら花』
と詠みました。この「匂う」は「うるわしきよしなり」の意と伝えられています。『やまとだましい』本来の意味は『うるわしき心』という事でしょうか。

 それならば平安女流文学に出てくるのも得心します。鎌倉幕府の武家社会から「いさぎよい」等、意味が変わってきたのでしょうが、それもまた『やまとだましい』の一面に違いはないでしょう。

 『うるわしき』の言葉は大変古いようで、日本紀に天照大御神の御姿を「ミヒカリうるはしく」とあり、古事記には日本武尊が死の間際、
『大和は 国のまほろば たたなずく 青垣 山こもれる 大和しうるはし』
と詠っています。
 「うるはし」や「まほろば」などの古語には、不思議な懐かしさを感じます。

 東北大震災の時、秩序を保ち、他の人の事をおもんばかる日本人の行動は世界中から賞賛されましたが、その姿は『うるわしき心』『やまとごころ』であったと思います。

2015年4月14日火曜日

一週間早く桜が満開

例年より一週間早く桜が満開。ここ数日の悪天で花も散り始めました。
この数日は、雨が降ったり止んだり、時折日が射したかと思うと突風が吹いたりと、忙しい天気です。
花見のお客様も天気を心配していたようですが、花より団子ならぬ、「猫」でテンチャン、キッコは大忙しでした。お世話になりました。


山猫軒の庭より由布岳


2015年4月8日水曜日

サクラ便り-1

山猫軒のある塚原高原の標高は700メートル前後、庭の枝垂れ桜の見頃は四月中旬です。
今年の春は暖かく一週間早く開花、はやくも五分咲きです。
来週二十日頃まで花見を楽しめます。
昨夜はライトアップしました。